1.漫画の宣伝、販促

単行本を拡販する方法まとめ④‐2~Amazonレビューの”質”ってどうなの?

更新日:

はい。昨日の「ネット上のレビューを増やそう」の続きです。

単行本を拡販する方法まとめ④‐1~ネット上のレビュー(感想)を増やそう!

今日も単行本の拡販方法まとめ。 前回記事はこちら。 今回はオンライン書店や電子書籍配信サイト、ブログやTwitterなどの感想書き込みを増やそう!というものです。

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レビューは、買うのを迷っている人の背中を押すのに有効だから増やしていこう!と書きました。
増やすならAmazonレビュー。Amazonで購入した以外の人も書けます。

一方でレビューには、どうしても作品や作者の存在そのもの否定する人(※批判、批評ではない)や嫌がらせ、中傷行為を行う人、いわゆる「アンチ」が現れることがあります。

アンチコメントと批評の違いってなんだろう?
そもそもAmazonレビューって信頼性高いの?

…といったことを考えていきます。

ネット上のレビューについて

レビューにはネガティブなものもある

先に確認しておくと。レビューや感想ツイートはファンレターではありません。ただの感想です。作者の気持ちなど考えてないものが多い。

「つまらない」「時間の無駄」「下手」「読んで損した」「金返せ」といったネガティブなレビューは「面白かった」というレビューと同じくらい、場合によってはそれ以上存在すると思います。

率直な言葉は伝わりやすく、図星を突くこともあれば、細かい部分を読み取れてない的外れなものもあります。

傷ついて当たり前

漫画は、時間をかけて、自分の中の何かを削ったり組み合わせたり、試行錯誤の末に描き上げたものです。

批判(否定、非難)されたら、傷ついたり、嫌な気持ちになって当然です。

単純なアンチ、ネガティブなコメントは無視、スルーしても良いと思います。特にアンチは反論したりといった作者の反応を面白がる傾向があります。無視が一番です。

ただ、批判的なレビュー(≒クレーム)には、作品に生かせる意見も沢山あります。

レビューはネット上のどこにある?

私がよくチェックするのは、Amazon、楽天ブックス、読書メーターの3か所。
Amazonと読書メーターは、Googleで「本のタイトル+感想」で検索した時、検索結果上位に入ることが多いです。

Amazon

件数は最も多いです。賛否両論、寄せられます。

Amazonレビューは「Amazonで購入してない人でも書ける仕様」であることに加え、「アカウントの匿名性が高い」からか、近所の本屋で買った人も書き込みに来ています。

楽天ブックスや電子書籍配信サイト

購入者しか書けないのでレビューは落ち着いています。件数も少なめ。
★5が多く、たいてい★3以上です。

楽天ブックスの場合、★1だと「カバーに傷がついていた」等、商品の瑕疵で点数を下げた書き込みも多いです。

数は少ないものの、作品への愛を感じられるレビューが多い気がします。

読書メーター

読んだ本を管理するサイトです。
読書が好きな人が利用しているせいか、レビューの質が高いです。件数は少なめ。

読書メーター

Amazonレビューはお客様窓口的なものに

現在のAmazonレビューはお客様窓口、もしくは昔の2ちゃんねる(匿名掲示板)みたいになっています。
ではAmazonレビューの質が低いか?というと、レビューの質は高いと思います。

ごくたまに捨てアカによる★1の中傷コメントや、違和感のある★5レビューも見かけますが、全体にしっかりとしたレビューが多いです。
★1のアンチコメントも、お金で買った★5コメントも、非常に分かりやすいです。

漫画家さんからしたら耳の痛い批判もあると思いますが、アンチ、嫌がらせと決め付けずに読むのも大事だと思います。

よくある傾向

多くの場合、1冊目の単行本や新作1巻のレビューは★5が最も高い割合となり、★1レビューが2番目に多いです。
レビューが30件以上集まった時の平均点は、3.0~3.9であることが多い気がします。

一例で『ヲタクに恋は難しい』1巻のレビュー状況ですが、1冊目の単行本は多くの作品がこんな感じになります。

こちらは6巻のレビューですが、書き込み件数も減り、★5や★4レビューの割合が上がります。
話が進み、ファンしか残ってない(購入していない)からです。

レビューが30件以上あるのに平均点が4を超えてる作品は、読者に愛されているし、ミスマッチも少ないのだと思います。

1冊目の単行本でも、レビュー件数が10件以下の場合は★5の割合が多く、平均点も4.0以上になります。

さわぐちけいすけさんの例

例として、Twitterで人気(フォロワー数20万人以上)のさわぐちけいすけさんの1冊目の単行本のレビューを見てみましょう。

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2018年12月現在、59件のレビューが書き込まれています。
平均が3.3点で、1番多いのが★5で23件(39%)、次いで★1が31%です。

比較の為に楽天ブックスのレビューを見てみましょう。
レビューは全10件で平均4.6点、。★5が7件で70%を占め、★1は1件もありません。
件数が少ないこともありますが、Amazonより平均点が1.3点高いです。

読書メーター。感想・レビューが108件。Amazonより件数があることも稀ですし、100件以上は感想が多い部類です。

Amazonでの購入率

せっかくなので★ごとのAmazonでの購入率を調べてみました。

★★★★★ 73.9%がAmazonで購入
★★★★ 66.7%
★★★ 75.0%
★★ 40.0%
★ 16.6%

★が高いレビューはAmazonでの購入率が高く、★が低いレビューは購入率が低いです。

「捨てアカ」率

さわぐちけいすけさんはTwitterで捨てアカによる嫌がらせを受けているようです。

レビューもアンチによる捨てアカでの書き込みが多いのかな?と思って、調べてみました。
捨てアカの定義は「この単行本のレビューの為だけに作られたアカウント≒この単行本1件しかレビューがないアカウント」とします。

★★★★★ 17.4%
★★★★ 22.2%
★★★ 50.0%
★★ 40.0%
★ 11.1%

1番捨てアカ率が低いのは★1レビュー、高いのは★3レビューでした。
私の感覚だと、この単行本のレビューに関しては、★2以下の批判的な意見もごもっともだと思います。ネット上の漫画だけを読んで書いたと思われるレビューはありませんでした。

他の漫画はどうか?

サンプルとしてネットで話題になって単行本化した『子育てビフォーアフター』、『娘が可愛すぎるんじゃ~!』『左ききのエレン』も調べてみました。

子育てビフォーアフター1巻


レビュー総数:21件

【Amazonでの購入率】
★★★★★ 100%がAmazonで購入
★★★★ 33.3%
★★★ 100%
★★ (レビューなし)
★ 0%

【捨てアカ率】
★★★★★ 7.1%
★★★★ 0%
★★★ 0%
★★ 0%
★ 0%

捨てアカは★5に1人だけでした。捨てアカというより、漫画を買うためにAmazonを初めて利用した感じでした。
★1レビューのAmazon購入率も捨てアカ率も0%ですが、単行本を読んでる感じはしませんでした。「ああ、嫌いなんだね」と思いました…。

娘が可愛すぎるんじゃ~!

レビュー総数:30件

【Amazonでの購入率】
★★★★★ 90.4%がAmazonで購入
★★★★ 100%
★★★ 50%
★★ 0%
★ 33.3%

【捨てアカ率】
★★★★★ 9.5%
★★★★ 33.3%
★★★ 0%
★★ 0%
★ 0%

こちらも、捨てアカというより、元々作品が好きな人が初めてAmazonを利用した感じでした。
私見ですが★1の人も単行本を読んでの批判だと思います。

左ききのエレン 1巻

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原作がネットで話題になって、作画担当をつけてリメイクされた創作漫画です。
今作はレビューが荒れていて、ぱっと見だとアンチが多い印象だったので選んでみました。

レビュー総数:30件

【Amazonでの購入率】
★★★★★ 55.5%がAmazonで購入
★★★★ -(評価なし)
★★★ 66.6%
★★ 0%
★ 9.1%

【捨てアカ率】
★★★★★ 33.3%
★★★★ -(評価なし)
★★★ 66.6%
★★ 14.2%
★ 9.0%

平均値

以上4作の平均値を出してみました。

【Amazonでの購入率】
★★★★★ 80.0%がAmazonで購入
★★★★ 66.7%
★★★ 72.9%
★★ 13.3%
★ 14.75%

★5が80%と最も高く、次いで★3、★4と続きます。
★2、★1については1割程度。Amazon以外で購入した人、もしくは購入していない人の書き込みが9割です。

【捨てアカ率】
★★★★★ 16.8%
★★★★ 18.5%
★★★ 29.1%
★★ 13.6%
★ 5.0%

サンプル数が少ないからだと思いますが、意外なことに★3が一番捨てアカ率が高く3割は捨てアカ。一番低いのが★1レビューでした。

以上から読み取れる傾向は

・高評価レビューはAmazonで購入した人が中心
・低評価レビューはAmazon以外で購入した人が多く、単行本を購入していない人も含む
・捨てアカ率は★の数に関係なく、一定数(1~2割)存在する

アンチが多い某作品

晒すみたいになるのでタイトルは伏せますが、SNSで自主的に公開していた頃からアンチが多かった作品のレビューだとこんな感じになります。

レビュー総数:14件、8割近くが★1です。

【Amazonでの購入率】
★★★★★ 50.0%がAmazonで購入
★★★★ 0%
★★★ -(評価なし)
★★ -(評価なし)
★ 0%

【捨てアカ率】
★★★★★ 50.0%
★★★★ 0%
★★★ -(評価なし)
★★ -(評価なし)
★ 45.4%

Amazonでの購入率は低く、低評価レビューの捨てアカ率は高いです。
コメントも、単行本の内容ではなく発表されていたSNSでの話ばかりになります。レビューの書き込みが発売後すぐのものばかりなのも特徴です。

これだとレビューではなく、ただの営業妨害に感じます。



★1レビューによくある意見

SNSで話題になって、単行本化した作品に共通した意見があります。

よく書かれるのは

・絵が汚い or 白い or 見づらい
・中身がスカスカ
・スマホの小さい画面なら良かったが紙だと印象が違う
・Twitter(など発表されたSNS)で見た時は面白かったのに…(印象が違う)
・ネットと同じものを収録してほしい or 全編描きおろしが良かった
・単行本でまとめて見るとくどい
・これなら単行本でなくて良い気がする
・変わり映えしない、同じネタばかりに見える
 ※コミックエッセイ系に多い意見

こういったレビューからは、ネット発の漫画を単行本にするのが難しいことが読み取れます。
SNS発のコミックエッセイ単行本だと、KADOKAWAさんが色々工夫してがんばっているとは思うけれど、成功のルールめいたものは見えません。

1冊目への期待

さわぐちさんの単行本2冊目、3冊目は高評価レビューが多く、書き込み件数が減っています。
期待して買うのは1冊目だけ。1冊目を買って失敗したと感じた人が2冊目を手にすることはないのでしょう。

余談・「捨てアカ」について

知らない人用の説明です。ネット上には「捨てアカ(捨て垢、捨てアカウント)」でレビューや感想を書く人もいます。

捨てアカの意味は”本アカウントでない、架空の人物のふりをしたアカウント。本アカウントでは発言しづらいことを書き込んだり、接触しづらい相手とやりとりする場合に使う(大辞林)”。簡単に言うと匿名でのレビューです。

Amazonだと、アカウントネーム(「Amazonカスタマー」など)をクリックすると、そのアカウントが書き込んだレビュー件数が表示されます。例として、これが私のアカウントの情報です。
名前は「Amazonカスタマー」でプロフィール画像もunknownですが、色々なレビューを書いていることが分かります。

捨てアカの場合だとこんな感じです。名前は色々ですが、その本のレビュー1件だけで、Amazonで購入していない人も多い。

たまに「お金もらって書いてるのかな??」と思うくらい的外れな★5レビューもあれば、「本当に読んだのかな??」と思うほど作者や作品を叩いている★1レビューもありますが、Amazonの場合、捨てアカでもしっかりとした意見を書いている人が多いという印象です。

レビューを書く人の気持ち

Amazonレビューの★1や★2にはたしかに、アンチコメントもあります。
特にネット(ブログ、Twitter、Instagram)発の作品のアンチコメントは多く、単行本を読んでない人も書き込んで来ます。

一方で、★1レビューには真っ当な批判意見も少なくありません。

レビューを書く手間

漫画を1作仕上げるのと比べたら大したことないですが、レビューを書くにも時間や手間がかかります。

私がAmazon・楽天レビューに割く時間は1作10~30分ですが、★4以上の好き・応援したい・期待している作品か、★1をつけるくらい他の人に買って欲しくない低評価作品にしかレビューを書きません。

レビューを書くのは購入した漫画の4割くらいです。書かない方が多い。
多分みんな、どうでも良い作品には時間や手間を割きません。

批判意見、反対意見は読者が増えた証拠

アンチコメント、批判コメントは読者が一定数を超えないと生じません。有名税のようなものです。
どれほどの名作であろうと、作品を嫌う人、苦手に感じる人はいます。

批判やアンチコメントにもヒントは隠されている

「この作品が嫌い・苦手」といった意見は、作品に独自性(オリジナリティ)があるという証左だと思います。

一方で、「この描写に傷ついた」「このセリフは読むのが辛い」「この表現は差別的だ」といった意見は、受け止め改善した方が良いかも知れません(意図してやってたなら別です)。

私がレビューを書くときのこと

私は、Amazonなどでもブログでも、レビューには面白いと感じた以外の気になるところ、モヤモヤしたところも書くようにしています。

これは「買うかどうかを迷っている人が読むこと」を意識してのことです。
私は作品が売れるだけでなく、作品と読者とのミスマッチを防ぎ、「買って損した」と言う人を減らす為にレビューを書いてます。

余談・こんなレビューもある

例えば作品そのものと関係ない、電子書籍の画像データが汚い、…みたいなレビューもあります。
そういう場合はデータを差し替えるなどの対応した方が良いと思うし、差し替え後はレビューに返信を加える、内容紹介に説明を加えるなど、周知した方が良いと思います。

※『からくりサーカス』1巻のレビューです。私はこれが気になって電子書籍版が買えない。結構な数の機会ロスに繋がっていると思います。勿体ない。

レビューはただの感想と書いたけれど、ある種のファンレターだと思うものもあります。
長年のファンが本気で作品が終わることを願って書いてたレビューが最近多くて切ない…。最近の漫画は長く続きすぎだとも思います。
※『ちはやふる』『おおきく振りかぶって』『風光る』などのレビューです。読んでて切ない…

まとめ

別記事で「SNSで漫画が拡散されたらどうなるか」といった記事も書こうと思っていますが、SNSをきっかけに話題になり、無料公開時にたくさん読まれた作品のレビューは、雑誌連載の作品と比べて荒れやすいとは思います。

しかし、アンチコメントが書き込まれることは稀です。
低評価でも参考になる意見が集まりやすいので、Amazonレビューを増やす努力をした方が良いと思います。

私みたいにレビューを読んで仕入れの参考にしている書店員さんも多いと思いますし、そういう人間はアンチか批判か、といった判断はつきます。

SNSのフォロワーやファンに「レビューをお願いします!」とお願いしたり、「レビューありがとうございます!」とお礼を言うくらいしか方法はありませんが、働きがけは必要だと思います。

SNSも含めて書こうと思ったのですが長すぎたので別にしたせいか、ちょっと脱線気味な記事になってしまった。
長くなりましたが以上です。

次はきんどうさんの『変女』キャンペーンについて書く予定。

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